ビジネスをしていると、誰もが一度は考えることがあります。
「もっと売上を上げたい」「もっと儲けたい」
その気持ちは自然なこと。
でも、**“儲かる”=“成功する”**ではありません。
本当に長く続いているビジネスには、必ず共通点があります。
それが、**「三方よし」**の考え方です。
“三方よし”とは、近江商人が大切にしていた経営哲学です。
その三つとは、
1️⃣ 売り手よし(自分・企業)
2️⃣ 買い手よし(お客様)
3️⃣ 世間よし(社会・地域・未来)
つまり、自分の利益だけでなく、
お客様や社会にも喜ばれる仕組みを作ること。
この3つがそろって初めて、本当の意味での成功といえます。
実はこの考え方を実践しているのは、
老舗企業だけではありません。
たとえば スターバックス。
スターバックスは「コーヒーを売る会社」ではなく、
「人と人がつながる場所を提供する会社」として世界中に広がりました。
お客様がくつろげる空間を作り、
スタッフが誇りを持って働ける環境を整え、
さらに、環境保護やフェアトレードを通じて社会にも貢献しています。
つまり、スターバックスの成功は、
“利益”だけでなく、“人と社会への思いやり”を軸にした結果なのです。
他にも、トヨタやユニクロなどの大手企業も同じ。
製品やサービスの質だけでなく、
社会や環境への責任を果たすことで信頼を築き、
長期的な成長を実現しています。
一時的に流行っても、長く続かないビジネスがあります。
その代表例が、数年前に一大ブームとなったタピオカ屋さんです。
あの頃、どこを見てもタピオカ。
新店舗が次々とオープンし、長蛇の列ができました。
でも今、当時の店舗の多くは姿を消しています。
なぜでしょうか?
それは、“ブームに乗って儲ける”という目的だけで始めたお店が多かったからです。
「売れそうだからやる」
「今がチャンスだから出店する」
そんな一時的な目的では、
お客様の本当のニーズや価値を見失ってしまいます。
タピオカが流行っていた時期、
お客様は“甘くて美味しいドリンク”を求めていたのではなく、
“写真映え”や“体験”を楽しんでいたんです。
そこに気づかず、「商品を売ること」だけに集中したお店は、
ブームが終わった瞬間に淘汰されていきました。
これはサロン経営にもまったく同じことが言えます。
売上だけを追いかけて、
「とにかく予約を増やそう」「高単価メニューを売ろう」と考えてしまうと、
お客様の“心”を見失ってしまいます。
でも、“お客様によし・自分によし・社会によし”を意識して行動すれば、
必ず信頼とリピートが生まれます。
たとえば、
・お客様が心からリラックスできる空間づくりをする(買い手よし)
・自分も無理せず、楽しく働ける仕組みを作る(売り手よし)
・美容を通して地域や社会に貢献する(世間よし)
この3つを意識すると、
サロンの空気も、売上の質も、スタッフのモチベーションも変わっていきます。
経営をしていると、つい“自分の利益”を優先してしまうこともあります。
でも、本当に豊かな経営とは、
自分も幸せで、お客様も幸せで、社会にも貢献できている状態です。
利益は「ありがとう」の積み重ねの結果。
感謝が循環するビジネスは、長く続きます。
「売上を上げること」だけを目的にするのではなく、
「関わる人を幸せにすること」を目的にすると、
結果として売上も自然とついてきます。
成功しているサロンや企業は、必ず“思いやり”があります。
それは「お客様に喜んでほしい」という想いから始まり、
「自分ができることで社会を良くしたい」という志へと広がります。
一時的なブームではなく、
長く愛されるサロンをつくりたいなら、
ぜひ“三方よし”の考えを経営の中心に置いてみてください。
売り手も買い手も社会も、
みんなが笑顔になれるビジネスこそ、本当の成功です。
あなたのサロンが、そんな“優しい循環”を生み出す場所になりますように。